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研究内容

研究室では、エネルギーと環境との調和を図った先端エネルギー利用システム確立と既設プラントの安定的な運転のために、タービンシステムの運用性向上策の検討や、過酷環境にさらされる構造材料の劣化機構解明に取り組んでいます。

電力エネルギー供給においては、太陽光や風力発電等の再生可能エネルギーを積極的に導入し、火力発電のCO2フリー化(非化石燃料の利用)によってカーボンニュートラルを目指しています。 ここで、火力発電には下図に示すように一日の間で発電出力を調整する負荷調整運転による電力需給バランスを調整する役割や、非化石燃料の燃焼が必須となっています。負荷調整運転は、電力の消費される「需要量」に合うように、発電する「供給量」を発電所で出力を調整するものです。そのため、発電出力がこれまで一定出力であったものが、変化したり、休日など需要の低い時間帯では出力ゼロとなる運転がなされます。このようなプラントの運転形態の変化にともない懸念される構造材料耐熱合金の劣化挙動として、疲労損傷、高温酸化や割れの機構解明を通して次世代発電システムの長期信頼性向上を目指しています。

出力変化

次世代型汽力発電システム確立のための高信頼化研究

蒸気タービンシステムにおける構造材料耐熱合金のプラントの長期運用を想定した場合の強度特性等の変化に着目し、水蒸気酸化の影響度評価、製造工程や溶接に起因した析出相が割れ経路に及ぼす影響をき裂発生ならびに進展試験により評価しています。

高温雰囲気中の構造材料の時間依存型破壊機構

現在実用化が進められている非化石燃料利用の発電システムである、アンモニアや水素利用のタービンシステムにおける新たな損傷モードの予測・評価法を開発しています。水素やアンモニア発電においても負荷調整運転は必須であり、疲労損傷挙動を評価しています。また、高温部材における切欠形状や経年化に伴う時効析出相に着目した水素脆化機構の解明を進めています。

水素製造・貯蔵システムの高効率化と高信頼化

次世代炉である高温ガス炉によるガスタービン発電と水素供給システムの高信頼化のため、高温の冷却材と接する耐熱合金の表面損傷挙動を評価しています。冷却材のガス組成や合金の脱侵炭挙動の評価を通して、寿命消費過程の全容解明を目指しています。また、高温の熱源を利用したカーボンフリー高効率水素製造のための安全評価技術の確立に関わる検討も進めています。