ホーム > 研究内容 > 次世代型火力発電システム確立のための高効率化技術

火力発電高効率化のための材料強度評価

 火力発電では高効率化によって燃料使用量が低減されることで、環境負荷の低減が進められています。次世代火力発電には、先進超々臨界圧発電システム(A-USC)や石炭ガス化複合発電システム(IGCC)などが開発されています。いずれも従来以上の高温高圧のガスや蒸気が利用されており、構造材である耐熱合金に対する使用環境が過酷になっています。

 さらに、今後さらなる太陽光や風力発電等の再生可能エネルギーを導入するためにも火力発電には負荷調整運転による電力需給バランスを調整する役割や、非化石燃料の燃焼が必須となっています。負荷調整運転は、電力の消費される「需要量」に合うように、発電する「供給量」を発電所で出力を調整するものです。そのため、発電出力がこれまで一定出力であったものが、変化したり、休日など需要の低い時間帯では出力ゼロとなる運転がなされます。このようなプラントの運転形態の変化にともない懸念される構造材料耐熱合金の劣化挙動として、疲労損傷、高温酸化や割れの機構解明を通して次世代発電システムの長期信頼性向上を目指しています。

 Ni基超合金の高温酸化環境中疲労き裂進展では,これまでにき裂経路が外部応力の繰返し条件に従ってき裂進展経路は粒内から結晶粒界に遷移することが分かりました。今後複雑化する負荷条件下における損傷予測性向上のために種々の条件下でのき裂進展挙動の評価を進めています。

 また、高温高圧の発電用ボイラーと同等の超臨界水環境中での合金の酸化挙動も評価を進めています。超臨界水環境中では合金に存在する炭化物近傍の酸化物形成や酸化皮膜の溶出が示唆されたことから、このような局部酸化の全容解明を目指しています。

A-USCプラントのシステム概要図
A-USCプラントのシステム概要図

断面図
Ni基超合金625合金の750℃過熱水蒸気中疲労き裂先端部のSEM像ならびにIPFマップ

高温酸化
Ni基超合金625合金の750℃中4点曲げ試験片引張部における酸化物断面のSEM像
(750℃超臨界水(SCW)中および過熱水蒸気(SHS)中100時間試験後)