「第十三回 電力エネルギー未来技術シンポジウム」講演要旨
『三菱重工のエネルギー分野における脱炭素化技術』小阪 健一郎
三菱重工業(株)
エナジードメイン
技術戦略室
エナジートランジションがグローバルに加速する中で,三菱重工業株式会社(以下,当社)の主力製品であるガスタービンコンバインドサイクル(GTCC:Gas Turbine Combined Cycle)・汽力発電のカーボンニュートラルへの対応も急務である。これら火力発電の脱炭素化には,発電設備の脱炭素化技術開発に加え,燃料の一つとなる水素を製造する技術開発が必要不可欠である。当社では,発電設備のみならず,水素製造装置についても開発に取り組んでおり,本報では高砂水素パークや長崎カーボンニュートラルパークとともに,水素の製造技術に焦点を当て,技術の特徴や開発状況を紹介する。
『碧南火力発電所でのアンモニア20%燃焼実証試験の結果』石井 大樹
(株)IHI
資源・エネルギー・環境事業領域 カーボンソリューションSBU
ライフサイクルマネジメント部 燃焼技術グループ
火力発電設備のカーボンニュートラル化としてアンモニアの発電用燃料としての活用が有望視されている。アンモニアは,燃焼性が他のガス燃料と比較し悪く,かつNOx排出量が多くなることの懸念があることから,実機での適用においては如何に安定かつ低NOx燃焼させるかが重要な開発課題であった。IHIでは,アンモニアの燃料としての可能性に2010年代半ばから着目しこれらの課題を解決するべく技術開発を行なってきた。SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)やNEDOの事業の中で,燃焼試験や数値解析を駆使しながら前述の開発課題を解決してきた。その成果を踏まえ株式会社 JERAとともに, 碧南火力発電所4号ボイラでのアンモニア燃焼比率20%の実証試験を行ない,所定の燃焼性能や収熱性能を満たしていることを確認した。本講演では,実証試験における結果を紹介する。
『クリーン水素製造に対する取り組み』辻 正洋
東芝エネルギーシステムズ(株)
エネルギーアグリゲーション事業部
水素エネルギー技術部
地球温暖化に歯止めをかけるための『次世代エネルギー』として水素が注目されている。水素はエネルギーの長期保存、長距離輸送により、電力貯蔵や水素を産業利用することによるエネルギーのセクター間融通を可能にし、且つ利用時には一切CO2を排出しないという特性を有することでCO2削減に寄与する。東芝はこの水素を再生可能エネルギーから賢く、持続可能な形で「つくる」為の技術開発を進めている。今回は、現在東芝が取り組んでいる、福島水素エネルギー研究フィールドの実証や水電解にかかわる技術について紹介する。
『能代火力発電所におけるブラックペレット混焼実証の概要』寺﨑 義博
東北電力(株)
発電カンパニー
火力部(火力企画)
東北電力グループでは,「カーボンニュートラルチャレンジ2050」を2021年3月に策定し,「再エネと原子力の最大活用」,「火力の脱炭素化」,「電化とスマート社会実現」の3つの柱を中心に,CO2排出量の削減に向けた取り組みを進めている。
「火力の脱炭素化」に向けて種々技術検証を行っているところであるが,本講演では,技術検証の一候補として2021年度より能代火力発電所にて取り組んでいるブラックペレットの混焼実証と今後の取り組みの概要について紹介する。