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2022.11.21 「第十一回 電力エネルギー未来技術シンポジウム」講演要旨

「第十一回 電力エネルギー未来技術シンポジウム」講演要旨

『女川原子力発電所第2号機 再稼働に向けた安全対策工事の実施状況について』
齊藤 靖広
東北電力(株)
原子力本部
原子力部(原子力設備)

 女川原子力発電所第2号機は,2021年12月に原子力規制庁より,安全対策設備の詳細設計に係る工事計画の認可をいただき,2023年11月の工事完了を目指している。
 現在,震災前の安全対策に加えて設備・運用の両面から様々な安全性向上対策に取り組んでおり,今回は現在実施している安全対策工事(地震対策,津波対策,電源の確保,様々な自然現象への対応,原子炉の冷却機能の確保,放射性物質の閉込機能の確保,事故対応の基盤整備)について紹介する。

『国際水素サプライチェーン構築への取り組み』
井上 健司
川崎重工業(株)
エネルギーソリューション&マリン カンパニー
プラントディビジョン
産業プラント総括部 理事

 脱炭素社会への切り札として水素エネルギーへの関心が国内外で高まっている。水素はエネルギーの長期保存・長距離輸送を可能にし、利用時にCO2を排出しないため究極のクリーンエネルギーと呼ばれている。川崎重工は、水素を「つくる」「はこぶ・ためる」「つかう」のサプライチェーンの上流から下流に至るすべての技術開発を進めており、水素社会の早期実現を目指している。
 本講演では、当社が取り組む世界初となる液化水素の海上輸送や船陸間荷役を含むパイロット実証事業の状況と、2030年以降の商用化を見据えた商用化実証事業計画についても併せて紹介する。

『カーボンニュートラルに向けた二酸化炭素の燃料および化学原料化への取組』
鎌田 博之
(株)IHI
技術開発本部
技術基盤センター
物理・化学グループ 主幹研究員

 温暖化による気候危機を乗り越えるためにカーボンニュートラル社会に移行するためには,エネルギーの脱化石燃料化に加え,CO2を炭素源として捉えて有価物として活用するカーボンリサイクルの導入が不可欠である。CO2を水素で還元することで,従来は化石資源を原料としている様々な炭化水素類を合成することが可能である。IHIではカーボンリサイクルに向けたソリューションを提供するために,メタネーションによるCO2の燃料化および化学原料として低級オレフィン合成技術の開発に取り組んでいる。カーボンリサイクルの必要性について解説するとともに,IHIにて進めている技術開発および実用化に向けた取り組みを紹介する。

『変化する汽力発電所の期待とそれを支える技術について』
篠崎 康平
三菱重工業(株)
エナジートランジション&パワー事業本部
SPMI事業部
ボイラ技術部
開発・デジタル推進課

 低炭素時代の中、日本では太陽光発電の導入が進められているが、晴天日の発電量が多い(太陽高度が高い)時刻に電力系統への電力供給量が過大となってしまい、一部の太陽光発電が系統への接続を拒否される状況が発生している。太陽光発電の受入を拡大するために汽力発電所に期待されることは、最低負荷を現状よりも引き下げて運転できるようにすることと、太陽光発電の天気依存の発電出力に呼応して柔軟に出力調整できる調整力を向上させることである。本発表では、これらを実現するために必要な各種機器の改造についてと、NEDO事業として東北大学にも参画いただいた蓄熱システムの開発状況を紹介する。

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