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2021.11.19 「第十回 電力エネルギー未来技術シンポジウム」講演要旨

「第十回 電力エネルギー未来技術シンポジウム」講演要旨

『東北電力のカーボンニュートラルに向けた取り組みについて』
江刺 慶
東北電力株式会社
グループ戦略部門
カーボンニュートラル・環境戦略ユニット

国内外で地球温暖化対策についての機運が高まる中,東北電力は,2021年3月および7月に”カーボンニュートラルチャレンジ2050”を公表し,2030年のCO2排出削減および2050年のカーボンニュートラルに向けてチャレンジしていくことを宣言した。本講演では,本チャレンジに係る主要な取り組み(「再エネ・原子力の最大限の活用」,「火力の脱炭素化」,「電化とスマート社会実現」)について報告する。

『水素キャリア候補の比較・評価』
竹井 勝仁
一般財団法人 電力中央研究所
エネルギートランスフォーメーション研究本部

本報告では,現在実証または事業検討の段階にある水素キャリアについて,火力発電用燃料として海外調達水素を利用するケースを総合的に比較し,早期実用化の可能性を評価した概要を紹介する。検討対象は,液化水素,メチルシクロヘキサン/トルエン,グリーンアンモニア,合成メタンで,海外での原料水素調達から水素キャリアへの変換,大量・長距離輸送により,国内発電利用前の貯蔵,水素への再変換までの範囲とした。水素キャリアとしての評価は,重量・体積水素密度以外に,水素⇔キャリア変換時の効率,経済性,取扱い容易性(輸送・貯蔵性),爆発限界や燃焼速度などの物理的安全性,劇物・毒物としての化学的安全性,早期実用化の観点からインフラの整備状況・既存設備の利用可能性を指標とした。各水素キャリアともに,優位な評価項目があるが,全体的には直接燃焼を前提としたグリーンアンモニアのバランスが良いことを示した。

『燃料アンモニアの背景と燃焼科学』
小林 秀昭
東北大学
流体科学研究所
教授

2020年秋の菅前首相による2050年カーボンニュートラル宣言以降,特に発電分野における脱炭素化に向けた燃料転換の候補として燃料アンモニアが大きく注目されるようになった.SIPエネルギーキャリアプロジェクトを契機に,アンモニア直接燃焼の技術開発はサプライチェーン構築と並行して社会実装に向け急速に展開されつつある.本講演では燃料アンモニアがエネルギー分野に登場した背景とその技術を支える燃焼科学について概説する.

『大規模発電設備における燃料アンモニアの利用技術』
石井 大樹
株式会社IHI
資源・エネルギー・環境事業領域
カーボンソリューションSBU 開発部

石炭火力発電において,CO2排出量削減のため燃焼してもCO2を排出しないアンモニアの燃料利用が期待されている。一方で,アンモニアは多量の窒素分を含むため,従来の石炭燃焼に比べて排ガス中のNOxが上昇する懸念がある。 IHIはNOxを石炭燃焼時と同程度に抑制しながら石炭とアンモニアを混焼できるバーナを開発した。 また,フィージビリティスタディをとおしてアンモニア混焼を実現するための課題抽出および対応策を検討した。本講演では,IHIの開発した石炭・アンモニア混焼技術および混焼技術の実機実証プロジェクトの概要について紹介する。

『水素およびアンモニア焚きガスタービンの開発』
中村 聡介
三菱重工業株式会社
エナジードメイン
エナジートランジション&パワー事業本部
GTCC事業部 ガスタービン技術部
ガスタービン燃焼器グループ長

高効率な発電方式であるガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)は、今後も旺盛なエネルギー需要に対応する一方で、脱炭素社会の実現に向けた技術開発が各方面で進められている。GTCC発電は、増大する再生可能エネルギーによる発電量の変動に迅速・柔軟に対応し、電力需要と再エネのギャップを埋めることが可能であり、また、水素・アンモニアの利用によりCO2排出量を減らし、脱炭素社会の実現において重要な役割を担う。本講演では、水素・アンモニアを利用した当社の発電用ガスタービン実現の取組みとして、キーポイントとなる水素・アンモニアの燃焼技術、ガスタービン燃焼器の開発状況について紹介する。また、北米、ヨーロッパを中心に世界各地の水素発電プロジェクトへの当社の参画状況も紹介する。

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