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2020.11.26 「第九回 電力エネルギー未来技術シンポジウム」講演要旨

「第九回 電力エネルギー未来技術シンポジウム」講演要旨

『高温高圧水による環境負荷低減資源循環技術とエネルギー関連技術への適用』
渡邉 賢
東北大学 環境保全センター
     工学研究科大学院工学研究科 化学工学専攻
教授

高温高圧条件の水は、溶解性や反応性が常温常圧の水とは大きく異なる。この状態の水を用い、食品加工、材料合成、廃棄物処理など、多くのプロセスが提案・実証・実用化されている。これら技術を広く資源変換と捉えると、資源の有効活用には改変・分離が不可欠であり、高温高圧水は条件を調整することでその目的が達成できる媒体といえる。これまで重質油、プラスチック、バイオマス、廃棄電子デバイスなどの改質・改変に対して高温高圧水の適用について検討し、それぞれの目的に沿って条件設定しプロセスを提案してきた。これら総括し、エネルギーに関わる資源変換に関する研究を紹介する。

『上越火力発電所第1号機の建設~高効率化への取り組み~』
鎌田 嘉尚
東北電力(株) 発電・販売カンパニー
火力部(火力建設)

東北電力(株)は,自社火力設備の経年化が進んでいる状況や,電力小売全面自由化等による競争の進展を踏まえ,計画的に経年火力の代替を進めるとともに,コスト競争力のある最新鋭の火力電源を開発する一環として,上越火力1号機の建設を進めている。 同発電所には当社と三菱パワー(株)が共同研究により開発した「強制空冷燃焼器システム採用次世代ガスタービン」を導入し,ガスコンバインドサイクル発電設備として世界最高水準となる熱効率63%以上の実現を目指している。これにより,燃料消費量と二酸化炭素排出量を削減し,高い経済性と環境負荷低減の両立を図るとともに,昨今の再エネによる電力系統の需給変動に対応できる高い運用性も兼ね備える発電設備として計画している。

『CO2排出量抑制に向けたカーボンリサイクル技術の動向』
麦倉 良啓
一般財団法人 電力中央研究所
 エネルギー技術研究所 研究参事

気候変動対策としてCO2排出量抑制が重要であり、このためにはCO2を資源と捉えて回収し再資源化することが重要となる。資源エネルギー庁にカーボンリサイクル室が2019年に設置され、カーボンリサイクル技術としてCO2分離・回収やその利用に関する技術開発が促進されている。具体的にはCO2回収コストの低減、CO2を素材や資源に転換する技術(化学品、燃料、鉱物等)や炭素由来の化学品・資源等の用途開発である。本講演ではカーボンリサイクル技術の動向を紹介するとともに、電力中央研究所が推進するカーボンリサイクル技術としてCO2電解リバーシブル固体酸化物セル技術や尿素電解合成可能性調査などについて紹介する。

『国際水素サプライチェーン構築への取り組み』
千代 亮
川崎重工業(株)
 技術開発本部
 水素チェーン開発センター
 プロジェクト開発部 水素エネルギー利用推進課 課長

地球温暖化に歯止めをかけるための『次世代エネルギー』として水素が注目されています。水素はエネルギーの長期保存、長距離輸送により、電気エネルギーの季節間変動への対応やセクター間融通を可能にし、且つ利用時には一切COを排出しないという特性を有します。そのためしばしば究極のクリーンエネルギーと称されます。川崎重工は「つくる」「ためる」「はこぶ」「つかう」のすべてのプロセスで開発プロジェクトを進めており、水素社会の実現を目指しています。今回は、現在川崎重工が取り組んでいる、日豪褐炭水素サプライチェーン構築のためのパイロット実証事業の進捗について報告します。

『水素焚きガスタービン開発に向けた取り組み』
苅宿 充博
三菱パワー(株)
 ターボマシナリー本部GT技術総括部
 中小型ガスタービン技術部
 小型ガスタービン開発グループ
 燃焼器チーム 主席技師

ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC) は、高効率な発電設備であり低炭素排出量の観点で優れた発電設備であるが、燃料を水素に転換することで炭素排出量ゼロを実現出来るため、各所で水素燃焼ガスタービンが検討されている。本講演では、水素燃焼ガスタービン実現に向けた弊社取り組みとして、水噴射/蒸気噴射を必要としないマルチクラスタ燃焼器について紹介する。また、オランダでの440MWの天然ガス焚きGTCCを100%水素燃焼に転換するプロジェクトにも参画しており、その概要についても紹介する。

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