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火力・原子力タービンの高効率化と高信頼性化の基礎検討

 火力発電の多くや原子力発電では、発生させた蒸気で「蒸気タービン」を回し、得られた回転力から発電しています。

「蒸気タービン」は、Fig.1に示すように①実際に回転して熱エネルギーから運動エネルギーへの変換を行う「動翼」と②回転せず、流れを整流する「静翼」が交互に配置されています。全体としては、多段構造を成しています。蒸気タービン内では、運動エネルギーへの変換によって蒸気の熱エネルギーは低下し、これに伴う蒸気の温度低下でやがて温度が一定未満になると一部の蒸気が液体の水に戻り、気流は霧のような湿り蒸気となります(湿り線の通過に伴う非平衡凝縮水滴の発生)。

 蒸気タービン下流(低圧段)では先述のように蒸気の一部が液体となり、この一部が静翼に付着すると静翼表面に水膜を形成します。これが蒸気タービン内の気流によって流されるとやがて静翼端部から粗大水滴として飛散し、その下流に位置する動翼表面に衝突します。水滴の衝突によって動翼表面への損傷(エロージョン)を引き起こします。 これまでは、エロージョン損傷に関する予測・運用手法は主に経験則的でした。しかしながら近年の省エネルギー、低CO2排出のための発電高効率化の必要性向上や太陽光発電や風力発電の大量導入のためのプラント運転状況の変化等に伴い蒸気タービンの気流条件は変化しています。従って、従来の経験則的なエロージョン予測手法に加えて、詳細解明や損傷量の高精度な予測手法の確立が望まれています。

 本研究室では、エロージョンの詳細解明のためのアプローチとして、静翼から飛散する粗大水滴の発生挙動や、発生水滴の水滴径頻度分布に関する詳細解明を行っています。粗大水滴の発生挙動解明により、材料損傷量の定量化やしいては、設計時における水滴形成制御も適用可能となり、プラントの信頼性の向上やエロージョンの低減に繋がります。 Fig.2に水滴飛散現象の撮影像の一例を示します。静翼からの粗大水滴飛散現象を模擬する実験装置により飛散する水滴の挙動を高速度カメラで撮影したものです。端部に生じた液溜まりが表面張力により複数の水塊となり(Fig2中央)、これが気流によって引き伸ばされて複数の液柱が発生している様子が見られます(Fig2右)。このように、粗大水滴の発生現象はある程度の周期性を持ち、複雑な挙動を示すことが分かっています。

 水滴の発生量については、各水滴に対して画像処理を適用し、水滴径頻度分布や、飛散水量の経時変化挙動を取得するなど、定量的分析を進めています。

蒸気タービン内部の構造と形成したエロージョン損傷現象の発生 Fig. 1 蒸気タービン内部の構造と形成したエロージョン損傷現象の発生 分裂現象の連続写真 Fig. 2 分裂現象の連続写真